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全国交流集会に参加して


すこし前のことになりますが、10月3~4日に横浜で開催された「第17回全国交流集会in神奈川」に参加してきました。

5つの分科会はどれもとても興味があったのですが、私は1日目は第3分科会「地域の学びを高校へ」に参加することにしました。2本のレポート発表のあと、高校の問題について討議が行われましたがそこでまずテーマとなったのは「定員内不合格」の問題でした。公立高校で定員割れをしている学校を受験しても障害を理由に不合格にされてしまうという現実があり浪人を余儀なくされている子どもたちもいます。定員内不合格について、その合格不合格の権限は高校の校長先生にあるので難しいのではないか。ただ教育委員会が本気になってそれを指導すれば変わってくるのではないか。高校の適格者主義にとらわれていることがそもそもの原因なのではないか。そんな意見が出されました。ただ、定員内不合格はすべての地域で行われているわけではなく、定員内不合格は出さない地域もあります。北海道もその地域のひとつです。子どもにとって高校に行きたいという気持ちは同じなのに住む地域でそれが左右されることはおかしなことです。

他の地域で出来て自分の地域でなぜそれができないのでしょう・・定員内不合格の問題に限らずそのような壁に突き当たることはよくあります。だからこそこのような集会で多くの人が顔を突き合わせて話し合うことが大切なのだと感じました。

 

2日目は第1分科会「出生前から就学まで」に参加しました。前日までの意見として「療育に行っていると地域の学校に行く力がわかない」ということがあげられていました。私の経験からも息子に障害あると分かったときから療育が始まり教えられるがままに通園をしていました。そしてそこからは特別支援学校に就学する子がほとんどでした。私はたまたま友人に誘われて参加した会で普通学級という選択を知りましたが、もしあのとき友人に誘われなかったら、仲間に出会わなかったら進む道は違っていたのかもしれません。周りに流されるままで、地域の学校という選択に気付かなかったもしれません。そう考えると、就学前の人とどう出会うか・・ということはとても大切な問題です。

 

私は、子どもの就学に関して保護者から「普通学級の何がいいのか?」ということを聞かれることがあります。普通学級の良さ・・友だちとの関わり、その子がいることで周りの子どもたちが変わること・・などなど挙げたらきりがありません。でも私はそのようなことを伝える反面、「いいことがあるから普通学級に行くのか?よくないことが多ければいかないほうがいいのか?」という気持ちが沸き上がります。

本当はいいことがあるから普通学級を選択するのではなく、障害があることで分けられること自体が差別なんだということ。普通学級にいってもその子がかわいそう、ついていけないなどということは人権が見下されていることなんだということも伝えたいのですが、人権が、条約がと言って理解してもらえるのだろうかという不安がありそこでシャットアウトされたくないという思いが私の中にあるのです。というのも私自身、息子が就学したときにはそこまで考えずそのようなことはあとでついてきたような気がするからです。

就学前はまだ「自分の子どもを何とかしないと・・」と考える時期で、さらに療育に通っているとそこに関わる専門家と言われる人たちからも同じようなことを言われます。そこで本人よりも周りが変わることが大事といって分かってもらえるだろうか・・と考えてしまいます。自立イコール個別の訓練ではなく、人と関わり合うことによって自立できると言っても果たして何パーセント伝わっているのか?また、一度普通学級は無理だと諦めた人に対してまだ伝える手段はないのか。またいつでも相談して下さいと言うほかに何か自分にできることはないのか。そして就学前の人たちにこちらから伝える手段はないのか。そんな悩みをこの分科会で投げかけることができました。

話し合いの中で、確かに就学前の人に出会うことはとても大切なことなのにそれがなかなか実現されず、また出会えたとしても私たちの思いを理解してもらうことは難しいという意見がでました。私も経験がありますが同じ療育に通う親たちの関係性には独特のものがある場合もあります。「療育ママ友」などという言葉もあげられていましたが、その中で普通学級という思いがあっても周りに言い出せない人もいるのではないかという意見に共感する人も多くいました。就学前の親たちと出会うこと、私たちの思いを伝える機会を広げることは全国連絡会としても悩んでいるということがあげられました。特にこれといって解決策が見つかるわけではありません。行政と手を取り合うことは理想ですがなかなか難しいことです。しかし、最後にある保護者のかたが、私たちが日々実践していること、つまり自分たちの子どもが地域で生きる様子を見せていくことなのではないかとおっしゃっていました。一度にたくさんの人に伝えられるわけではないけれどやはりコツコツとやっていくしかないのではないかと。

いいこともそうでないことも含め障害のある子どもが地域で生きるということありのままで伝えていくこと・・それはとてもシンプルなことですが、今の私にとって最も大切なことであって、そのためにはまだまだやらなければならないことはたくさんあると実感することができました。伝える機会がない、理解してもらうためにどうしたらいいのかと悩む前に、まず今自分のできることを見つけてやっていこう・・そんな勇気をもらったような気がしました。

 

2日間の全国交流集会は私にとってまた学ぶことの多い集会になりました。今回息子も初めて一緒に参加し、多くのかたにお世話になりました。来年は大阪。吉本新喜劇の大好きな息子は来年も行く気満々・・みなさんまたどうぞよろしくお願いします。

 

青野 比奈子