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DPI全国集会に参加して


5月30~31日に福島県郡山市で開催された「第31回DPI日本会議全国集会in福島」に参加してきました。

1日目は2015年度の総会のあとADA(障がいを持つアメリカ人法)のドキュメントビデオの上映、2日目は午前中が全体会(テーマ「障害者権利条約が目指す、全ての人が尊重される社会に向けて」)、午後からは分科会というプログラムでした。

 

私が参加した分科会は、教育「障害者差別解消法をインクルーシブ教育の確立に活かすために必要なこと~成果を各地へ持ち帰って、運動を展開しよう~」でした。

報告では石巻市在住で、重度障がいを持ちながら地域の小中学校で過ごしてきたTさんのお母さんが映像を交えてお話をされました。Tさんが先生や周りの子どもたちと一緒にいることがあたりまえに生活されている様子はとても素敵でした。そして私がなにより素晴らしいと思ったことは、震災で避難所にいたときにも友だちがTさんにたくさん関わってくれたということでした。日常生活を共に過ごす土台があれば、たとえ非日常の事態になってもそれは変わらないのかもしれません。

また、大阪のH先生からは、今展開されている「つきそいをなくそうキャンペーン」の報告がありました。

 

その後の指定発言で私も時間をいただいたので、札幌市の学びのサポーターの問題点とつきそいについてのお話をさせていただきました。

 

学びのサポーターについての問題点はまず「時間数が少ない」ということです。必要とする子どもの人数に対してのサポーターの時間数が足りないのです。サポーターの時間数は子どもに人数ではなく学校単位で決められるので、対象の子どもの人数の多い学校は余計に足りなくなります。また、サポーターの活動内容は、対象の子ども個人についても、学級全体についてもよく、それはその学校の判断です。ですから保護者が自分の子どもについてもらいたいと思っていても、学校が「うちは個人ではなく学級全体の支援をしています」と言えばその要望が叶わないこともあり、結局親がつきそわなければならないこともあるのです。

 

また、もうひとつは「サポーターの活動内容と立場のあいまいさ」です。

学びのサポーターの活動内容は、学習支援の他に日常動作の介助となっています。しかし、介助の部分について、どのような指導や研修が行われているかわかりませんが強制されないところがあるようです。そのため学習支援はサポーターが付いていても、給食や排せつ等の介助のために親が学校に行かなければならないということも起こっています。プール学習やスキー学習も同じです。学びのサポーターはその立場が「有償ボランティア」となっており、時給もかなり安い金額ですからボランティアの気持ちのあるかたがなさっている仕事です。ただ、そのために不都合なこともあるのですから、サポーターを有償ボランティアというあいまいな立場ではなく、しっかり予算をかけてその活動内容を明確にする制度にしていく必要があると思います。

全国各地で支援員の制度は様々だと思いますが、札幌の現状を知ってもらってアドバイスをいただければと思い2つの問題点(本当はもっとありますが)をお知らせしました。

 

付き添いについては先日のひろむの修学旅行の話をしました。

校外学習や修学旅行など宿泊を伴う場合の付き添いについては誰が行くのか、またその付き添う人を誰がさがすのか(市教委か学校か親か)いつもあいまいで、結局時間切れで親が付き添うということが今までの私の傾向でした。中学校の修学旅行は3泊4日で、家庭を持っているひろむの学びのサポーターさんが行けないことは事前に分かっていました。ひろむの場合、身体的な介助はないのですが、行動がゆっくりで周りのペースについていけなかったり(・・バスやJRに乗り遅れたら大変という学校の話)、一緒にできないこと(・・苦手な暗いトンネルもあるとのこと)、やらないこと(・・いやなことがあると頑固で動かなくなってしまう)などなど・・があるのでした。そういう部分ならひろむのことをよく分かっている先生が配慮してくださるのがいいので、先生の人数をひとり増やしていただけないかお願いしたのですが、それは相当難しい問題のようであっさり却下されてしまいました。

今までの校外学習などではひろむのいるグループの子どもたちはひろむのことを考えて、グループの自主学習のコースをゆったりしたものにしてくれたり、朝の身支度もかなり手伝ってくれたようです。まわりの子どもたちの優しい気持ちもわかるしそれはいいことだと思うがそこにも限界がある。周りの子どもたちがひろむのことにかかりすぎて自分のことが疎かになってしまってはいけない。そのためにその部分をサポートする人は必要だというのが学校の考えでした。でも同行する先生を増やすことはできないので、誰か付き添う人は必要だということでした。

学校も付き添う人については親でなくてもいいということでしたので、今回市教委に今までのように時間切れで親が付き添うということにならないように、「付き添いを市教委で探してほしい。」と要望しました。「学校や親は探せません!市教委で責任をもって探して下さい。」と伝えました。

 

そして旅行の約一か月前に市教委が付き添うかたを見つけて下さり。ひろむは無事修学旅行に行くことができました。

 

今回のことで良かったこととそうではなかったことがあります。

まず良かったことは付き添いについて市教委が探して下さったということです。このことは今回のひろむのことだけでなく、これから他の子どもたちが同じような状況になった場合も同じ対応をして下さるということを市教委は約束してくれました。

良くなかったことは旅費のことです。今回の付き添いのかたの分の旅費は残念ながら保護者の負担になってしまいました。付き添いが決まってから旅費の支払期限までほとんど日数がなかったので二人分支払うことになってしまいましたが、このことに関しては新たな課題として考えていくつもりです。

 

ひろむが全く親の付き添い無しでこのような学校行事に参加したのは初めてのことです。今回付き添って下さったかたもひろむにとても良くして下さって本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

しかし、修学旅行から帰ってきてホテルの部屋がそのかたと2人部屋だったことが分かって私はびっくりしました。

たしかに昨年の宿泊学習のとき、朝ひろむがなかなか起きなくて同室の子どもたちが大変だったということは聞いていました。だから今回は最初から別室にされたのでしょうか・・・周りの子どもたちのサポートもあった上でそれでも難しい場合にそこを埋めるための付き添いではなく、もしかして最初から周りの子どもたちのペースに追いつくための、周りに迷惑をかけないための付き添いだったのかと感じました。

 

今、親の付き添いを無くそうキャンペーンが行われています。親が付き添うよりは確かに違う人が付き添ったほうがいいけれど、でも一番いいのは付き添いなしで過ごせることだと思います。そのためには合理的配慮が、付き添った人、担当の先生だけでなく学校全体でなされることが大切なのだと思います。

 

最後に、修学旅行から帰ってきたときに付き添って下さったかたの一言が私は忘れられません。

「旅行中、JRとかで周りの子どもたちがみんなひろむくんに声をかけてくれたり、助けてくれていました。クラスが違う子もそうなんです。周りの子どもたちがとっても優しくて感動しました・・・そんなとき、ぼくは必要なかったんです。」

 

以上のような内容を持ち時間の7分を少しオーバーしながらお話しました。そのあとフロアから修学旅行の付き添いの問題について様々な意見が出ました。旅費について付き添い者の分を保護者が負担しなかった事例、またこれから修学旅行を控えている子どもの親からの質問など・・・ただ残念なことに帰りの飛行機の時間を考えると私はそこで帰らなければならず、後ろ髪をひかれる思いで会場を後にしました。

 

付き添い者の旅費については他県の事例を聞くことができましたのでそれを参考に調べていこうと思っています。

今回の全国集会でもまたいろいろなかたと出会うことができ、大変勉強になりました。充実した2日間でした~!

 

(青野 比奈子)