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着床前スクリーニングのこと


3月13日の北海道新聞「読者の声」に掲載されました。

 

「受精卵検査承認に異議」

青野 比奈子(札幌市南区)

 

日本産婦人科学会が「着床前スクリーニング」(受精卵検査)の臨床研究を正式承認したことが報道された。体外受精した受精卵の染色体異常を調べ、正常な受精卵だけ戻すことで、流産の減少や出産率の向上につながるか検証するためだそうである。

 

流産や不妊で悩み、苦しんでいる人が多くいることは承知だが、正常ではない受精卵が破棄されてしまうことに私は抵抗を感じる。

 

確かに染色体異常の場合、流産を起こす確率は高いといわれている。しかし、中にはその難関を乗り越えて生まれてくる命もあるのだ。懸命に生きようとする命をシャットアウトすることは残酷なことだ。

 

異常があるなら、生まれてくる子どもに障がいや病気があるなら、それなら生まれないほうがよいという考えが一般的になることは恐ろしいことだと思う。

医学の進歩は喜ばしいことなのかもしれないが、それが誰かの犠牲や差別につながるものであってはいけないのではないだろうか。