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公立小中学校のバリアフリー化について


2020年「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」の一部が改正され、その対象施設に公立小中学校が追加されました。その背景には、障害のある子どもも障害の無い子どもも共に学ぶインクル―シブ教育に向けての整備があると考えられます。実際に文部科学省の通知でもバリアフリー化によって将来的に目指す姿として「公立の小中学校等について、原則全ての学校施設において、車いす使用者用トイレ、スロープ等による段差解消、エレベーターの整備等のバリアフリー化がなされ、障害等の有無に関わらず、誰もが支障なく学校生活を送ることができる環境が整備されていることを目指す」となっています。また公立小中学校は子どもたちの学びの場だけでなく、避難所や投票所など地域の住民も利用する場です。今回の改正は多くの人にとっても大切なことだと言えます。

 

整備目標については「令和7年度末までに緊急かつ集中的に整備を行う」となっており、その目標設定の考え方として「配慮を要する児童生徒や教職員の在籍状況、災害時における避難所の指定状況等を踏まえ重点化を図る」とあります。つまり、現在在籍している場合は優先されるということです。また、現時点で在籍していない場合においても「将来的な動向等を踏まえ柔軟かつ適切な対応を促進する」ということですから、例えばまだ入学前であってもその学校に行くのであれば整備を求めることもできるのです。

 

具体的な整備目標としては、令和7年度末までに

1、車椅子使用者用トイレ→避難所に指定されている全ての学校に整備する

2、スロープ等による段差解消→全ての学校に整備する

3、エレベーター→要配慮児童生徒が在籍する全ての学校に整備する

となっています。

 

これらの整備目標については昨年、文部科学省から各自治体の教育長あてに通知が出されています。そして国の整備目標を踏まえ、各学校施設のバリアフリー化に関する整備目標を盛り込んだ整備計画を策定するよう求めています。しかし、実際は各教育委員会がまだ追いついていない状況があり、例えば札幌市では、前回の私たちの「札幌市のインクル―シブ教育の推進に関しての要請書」の中で、整備計画についての質問に対し「札幌市教育委員会としても学校施設におけるバリアフリー化の整備計画について検討を進めていく予定です」(2021、3)という回答に留まり、具体的なものはありませんでした。今後は、令和7年度末までという決められた期間のなかで、教育委員会がどのように取り組んでいくのかを注視していくことが必要です。

また、今までは学校施設の問題で地域の学校をあきらめていた親や子どもたちがいたかもしれません。このバリアフリー法の一部改正によって、今後誰もが地域の学校に通いやすい環境が整っていくのだということを多くの人に知ってもらえたらと思います。