に投稿

卒業しました 続き


前回、新聞記事を投稿したのですが文字が見えずらいようなので全文を紹介します。

 

「共に学ぶ」貫き9年  ダウン症の青野さん 普通学級卒業

 

ダウン症の青野洸夢(ひろむ)さん(15)=札幌市南区=が、今春、市内の公立中学校を卒業した。青野さんは小中の9年間、障害に応じた教育を受ける「特別支援学校」ではなく、普通学級で学んだ。「障害の有無で分けられたくない」という母比奈子さん(51)の思いからだ。周囲の理解や助けを得ながら二人三脚で一歩づつ進み、卒業の日を迎えた。(編集本部 古川有子)

 

「卒業証書授与式を始めます。」4月28日、中学校で洸夢さんのためにひと月遅れの卒業式が行われた。3月の卒業式は心臓の手術で出席できなかった。卒業証書を胸に、洸夢さんは「ありがとうございます」とはにかんだ。

比奈子さんと父光さん(50)、3人きょうだいの5人家族。幼いころから心臓に疾患を抱え、保育園に通えなかった。比奈子さんが仕事を辞め、2人で療育施設に通った。学齢期を迎え、比奈子さんが「学校に入ったら、いろんな人との関わりの中で育ってほしい」と考え、普通学級を選んだ。

多くの壁にぶつかった。体の発育が遅れて歩けず、学校で比奈子さんが常に付き添った。授業中に教室を出たり、床に座り込んでしまうことも。「障害があるのに、なぜ無理して普通学級に通わせるのか」という声も聞こえてきた。

一方で、比奈子さんの思いを理解してくれる保護者も少しずつ増え、付き添いをサポートするボランティアサークルもできた。

黒田美香さん(49)は、息子の颯さん(15)が小学校で洸夢さんと同じクラスだった。毎日付き添い、学校行事も一緒に参加する比奈子さんの姿に、強い思いを感じたと振り返る。「普通学級と特別支援学校、どちらがいいか正解はないと思う。でも、青野さんの思いを尊重したいという気持ちになった」

子どもたちも大きな助けになった。成長につれて徐々に歩けるようになった洸夢さんだが、小学生の時に階段を嫌がって立ち止まっていると、友だちが「手をつないで行こう」と声をかけた。洸夢さんは手をつなぎ、笑顔で階段を上り始めた。比奈子さんは、子どもたちは「自然に洸夢を受け入れてくれた」と振り返る。

 

中学1、2年で同じクラスだった友人の河合祐輔さん(15)にとって、障害のある子と一緒に学ぶのは初めてだったが、表情豊かな洸夢さんとの会話は、聞き取れない言葉があっても楽しかったという。「いつもニコニコして、クラスを明るくしてくれたし、陸上競技会で断トツビリなんだけど、一生懸命走る姿はすごくよかった」と河合さん。「洸夢は助けてもらっていただけじゃない。洸夢のおかげで経験できたことがたくさんあった」

卒業アルバムは「楽しかったよ、ありがとう」「洸夢はみんなに愛される人だね」といった寄せ書きがあふれた。

同世代の仲間の中で居場所をつくり、過ごした日々が凝縮されている。洸夢さんは「学校は楽しい。うれしいです」と顔をくしゅっとさせて笑う。9年間の豊かな経験を元に、高校進学へ向けて準備を始めている。